今月のTAXニュース

TAXニュース5月号

「相続開始前7年以内贈与における留意事項」

課税価格への加算対象贈与財産価額に留意

 国税庁は、所得税法等の一部改正法(2023 年法律第3号)等の施行に伴い、「相続税法基本通達」
(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)
については、2023年12月1日付で「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)に
より、所要の整備を行ったところだが、このほど、その相続税法基本通達等の一部改正のあらまし
を公表した。

 その中に、「相続開始前7年以内に贈与があった場合の相続税額」に関する記載がある。2023年
度税制改正では、相続税・贈与税について資産移転の時期の選択に対する中立性を高めるため、
相続税の課税価格に加算される暦年課税による贈与の対象期間(「加算対象期間」)が相続の開始前
3年以内から相続の開始前7年以内に延長された。また、その際、過去に受けた贈与の記録・管理に
係る事務負担を軽減する観点から、改正により延長された期間(相続の開始前3年超7年以内)に贈与
を受けた財産の価額については、総額100 万円まで相続税の課税価格に加算されないこととされた。

 相続税の課税価格に加算される贈与により取得した財産の価額として、相続税の課税価格に加算
される加算対象贈与財産の価額は、その財産の下記に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める金額
となることに留意するとした。

 区分は、(1)加算対象贈与財産のうち相続の開始前3年以内に取得した財産は、その財産に係る
贈与の時における価額、(2)加算対象贈与財産のうち相続の開始前3年以内に取得した財産以外の
財産は、その財産に係る贈与の時における価額の合計額から 100 万円を控除した残額となっている。

 なお、(2)の区分においては、相続または遺贈により財産を取得した者ごとに100万円が控除
されるものであることから、その価額の合計額が100万円以下である場合には、相続税の課税価格
に加算される金額はない(残額は零となる)ことに留意するとした。

☆その他の留意点☆
 本改正は 2024年1月1日以後に贈与により取得した財産に係る相続税について適用されることから、
相続または遺贈により財産を取得した日が2024年1月1日から2030 年12月31日までの期間にある場合
においては、加算対象期間及び相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産に係る期間(100万円控
除が適用される期間)は財産の取得時期に応じて、それぞれ異なりますので、留意する必要があります。